杉宮から返された煙草を佐野は吸う。

そして、白い煙を吐き出すと感情の読み取れない表情で言うのだった。

「そういや、そんなこと言ったこともあったっけな。」

杉宮はただ真っすぐに佐野を見つめていた。

「なぁ、杉宮。親が子供にすべき最も根本的な義務は何だと思う?」

「……?」

杉宮は困惑した。

例えばそれは大人になるまで育てること。のように現実的な答えだったり、例えばそれは愛を持って接する。のように極ニュアンス的な答えだったりと、佐野がいったいどんな答えを求めているのかが分からなかった。

しばらく考えていたがうまい答えの出ない杉宮。

そんな様子を察してか、佐野は吸っていた煙草を消すと、少し哀しげな表情で言う。

「それはな、子を守ってやること。だ。」

杉宮は少し呆気にとられた。予想していた答えとは真反対にシンプルな答え。

「そんなことは当たり前だと思うか?」


低い声にどんな感情を隠しているのか杉宮には計り知れなかった。

「…はい。」

戸惑いながらも真っすぐな返事に、佐野は軽く笑みをこぼした。

「じゃあ、もしその守るべき親から逆に傷つけられて育った子供がいるとしたらその子は親になった時どうなると思う?」

「それは、虐待ということですか?」

佐野は静かに頷く。


更に困惑した杉宮。




佐野はいきなり、着替えたばかりの服を脱ぎだした。