「君、大丈夫か?」
ガッと肩を掴まれ、鴨居は身体をビクッと揺らし目を覚ました。
「あ、え?」
目を開けるとそこには、タオルを頭に巻いた男が立っている。
大柄で日焼けをしていて、筋肉質な。
でもそれでいて柔らかな雰囲気を持つ人だった。
「こんな大通りで寝ていたら危ないよ。ま、車はめったに通らないんだけどね。」
豪快な笑顔を見せた男は自分の自転車に付けたバッグから、何かを探す。
「もしかしてあなたも自転車で旅を?」
そう鴨居に聞かれると、男は一瞬驚いたが「そっか」と呟いて笑った。
「そっかそっか。君もか。ママチャリだったけど、この道を通っているからもしかしたらもしかするのかな。なんて思ってたんだ。」
そして男は鴨居に、乱暴に詰め込まれ散乱していた、その道具を手渡した。
「俺は曽我(そが)。みんなソガさんて呼ぶから君もソガさんて呼んで良いよ。」
「あ、オレ鴨居友徳です。あの……ソガさんこの道具って何ですか?」
手渡された道具を見ながら鴨居がそう言うと、ソガは笑顔のまま一瞬硬直する。
「はい?」



