放浪カモメ

夕暮れ間近。

宿無し旅最大の試練がやってくる。

「ない……ない……なーーーーい!!」

野宿での寝床確保は実はなかなかの試練である。

都会にはないだろうけど、田舎なら何処でも寝れるんじゃないのか?

そう思う人は少なくないだろう。

だがしかし、いややはりと言うべきだろうかこの御時世である。

民家に近いと夜な夜な警察が回ってきていたり。

かといって民家から離れ、一面田んぼの中にある電波塔の足場で寝ようとしたらたまたま通りかかった農家の方に、そりゃあもう冷たい眼差しで見られたり。


こんなことを羅列し始めたら切りが無いのだ。


それでも寝床はなんとしてでも探さなければ、旅ができなくなってしまう。

夕陽すらも視界から去ろうとした時。

「おっ、河川敷に橋みっけ!!助かったぁ。」

最終的に落ち着くのは橋の下や、雑木林の中などとなるのはいた仕方がないのだ。

「先客もけっこういるけど、ここは大丈夫そうだな。」

橋の下にはブルーシートが貼ってあることが多々ある。

そんな人を仮に住居人と呼ぶならば、鴨居の様な旅人は下宿人と言うことになるのかもしれない。

そんなこともあり、住居人がいる場合にもやはり移動を余儀なくされるので、結果、野宿での寝床の確保は最大の試練と言えるのだった。


「はぁ、疲れた……」