雲静は杉宮が去っていくのを背中越しに見送ると、静かに扉を閉めた。
「静、体調はどうだ?」
雲静はさっきまで杉宮が座っていた椅子に腰掛ける。
「最近は父さんと要が会いに来てくれるから調子が良いです。」
「そうか……おや、綺麗な花だな。誰かのお見舞いかい?」
しばらくの間、2人は優しい表情で杉宮の持ってきた花を見つめていた。
そして雲静は、さっきの杉宮の表情を思い出したのか哀しげな顔で静に聞く。
「要はまだ私を恨んでいるのだな……それも仕方の無いことだが。そうだ、要から樹のことは聞いているか?」
杉宮が目一杯の憎悪を抱く、雲静とは本当に杉宮の思うような人物なのか。
少なくとも今、静を慈愛の眼差しで見つめ、樹のことを気に掛けるこの人物は、誰が見てもただ、一生懸命に子を思う父親そのものであった。



