放浪カモメ



「何で……」

杉宮は口惜しそうな歯痒そうな、表情を床に落とす。

そして下を向いたままで声を張り上げた。

「何で静兄さんはアイツをかばう様なことを言うんだよ!?」

静は一瞬驚いた表情をしたが、優しく杉宮の顔を上げさせると、言うのだった。

「何で?ってそんなの決まっているよ――」

静はまたいつもの優しげな表情をする。

「僕の、いや僕達の愛すべき父親だからさ。」

にっこりと笑った静の顔を杉宮は見ることが出来ずに、目を逸らす。


黙ったまま立ち上がると杉宮は出口へと振り返る。

「静兄さん今日はゴメン、負担かけるような話しちゃって。」

「いいよ。それより要。明日も来てくれないかな?大事な話があるんだ。」

「……?うん、分かった明日も来るよ。」

そう言って杉宮は、手を振る静を背に病室を出ようとした。

杉宮がドアのとってに手を掛けた瞬間、病室のドアが開き誰かが病室に入ってきた。

「要……来てたのか!?」

「お久しぶりですね、オトウさん。それでは。」

杉宮は父親の顔を一度たりとも見ることなく去っていった。