静兄さんは勉強も運動も、料理や、絵や、歌も人間関係だって……何でも出来てしまう人だった。

それだけに親父や周りの期待は生半可なものではなかった。

五代に渡り継がれてきた旅館を自分の代で終わらせてはいけない。そんなプレッシャーが親父にはあったのだろう。



そして静兄さんが大学を卒業して旅館を継ぐのが目と鼻の先になったころ。

静兄さんは調度良い機会だからと、軽い気持ちで健康診断に行った。






その時に血液に異常があることが分かった――