新田のすぐ後ろまで近づいた鴨居だったのだが、意図せぬ障害が鴨居の接近を妨げていた。
友達の中心に位置し、楽しそうに笑う新田に近くのはなかなか至難の業だった。
しばらく様子を見ながら後ろに付いていくが、一向に障害が崩れる兆候など見れず、鴨居は仕方なく、その団体の前に躍り出た。
「カモ……!!」
新田を囲んでいた連中はそう口にした新田を見つめ、口々に「なに、穂波の知り合い?」の様な言葉を発した。
「新田くん、あの……」
鴨居が口を開いたとほぼ同時に新田は申し訳なさそうな、悲しみをはらんだ表情をして小さな声で言った。
「カモ、本当にゴメン……」
その一言を鴨居の顔を見ながら言うと、新田は顔をふせ、連中と一緒に校外へと消えていった。
その時に鴨居は、身体の奥底から『プツン』という小さくか細い何かが切れる音を聞いた様な気がした。
太さの足りない糸を捻ったなら、それは容易く
チギレテシマウ……



