放浪カモメ


この日の講義は全て終了した鴨居であったが。

新田や岡崎との関係を修復したいがために、その後もバイトの始まるギリギリまで大学に残ることにした。


大学には大きな中庭がある。

みずみずしい芝生。活気ある樹木。

それらを見渡すことのできるベンチも設置されている。

そんなベンチの中でも、一番よくキャンパスを見ることができる位置に、鴨居は自販機で買ったスポーツドリンクを持って座った。

「やっぱり新田くんに避けられてるよなぁ……」

スポーツドリンクを口に含むのだが、喉を通る頃には少し生温くなってしまっていた。


暑い日差しが鴨居に降り注ぎ、熱くなった髪の毛は彼の頭を当分冷やしてくれそうにもなかった。