公園から駆け出した岡崎は真っすぐに大学へと向かっていた。

涙で視界がぼやけている。

彼女の走った軌跡にポタポタと小さな水滴が落ちた。

雨ではない、それは彼女の涙だ。





ゴメンなさい。

ゴメンなさい。

ゴメンなさい……

きっとあなたの最後の言葉を

「付き合ってほしい」なんて言葉を聞いたら

私は断ることができなかったから……


あなた以外を思っている。

そんな中途半端な気持ちで付き合いたくはなかったから……

私はあなたから逃げてしまったけど。

でも、私はあの人ときちんと向き合うから

だから……

ゴメンなさい。



穂波先輩、大好きです。





そして岡崎は大学に着くと、真っ先に佐野の研究室へと向かう。

そこにいるであろう人物に会うために。


研究室にはちょうど鴨居しか居なかった。

佐野の資料の整理を手伝っていたらしいのだが、佐野は一服に出ているようだ。

鴨居は珍しい人物の登場に少し驚いた顔をしたが、優しく招き入れる。

「どうしたの?入りなよ、早苗ちゃん。」


「……はい。」