今日、松原君は休んだ。
風邪らしい…


香奈は残念そうな、でもホッとしているようだった。


でも、私の心は晴れてはいなかった。


「香奈。残念だったね…また…頑張ろう…」


なぜだか言葉が途切れ途切れになってしまう。


それを彩夏は静かに見つめていた。


「彩夏?どうしたの?」


彩夏は私に気付くと、

「ううん。あっ!香奈!明日は来るよ。頑張りなよ」


そう言うと、自分の席に戻った。


私たちも席に戻った。


私はぽっかりと空いている一つの席を見つめていた。




放課後になり、教室も人が少なくなっていた。


私は松原君に届ける明日の日課表を書き上げていた。


「出来たっ」


私は後ろを振り返り、森田君の所へ行った。


「はい。書いたよ。しっかり届けてくださいね」


「ハイハイ!……」


「どうしたの?」


森田君は手紙を鞄にいれると、


「今日、英人いなくて寂しかった?」


英人…そう森田君が言ったのを初めて聞いた。


「…うん。すごく…学校があんまり楽しくなかった…でも、香奈は今日松原君に告白しようとしてたから、香奈のほうが…」


「告白…しようとしてたんだ…」


「うん…」


私は近くの席に座りながら言った。


「でも…どうだろう。あいつは、気になってる人がいるみたいだし…」


「沙織さんでしょ?このこと香奈にも話したほうがいいのかな…」


「沙織さんかぁ…沙織さんもだけど…」


森田君は微笑みながら言った。


「沙織さん……でしょ…」


なんだか不安になってきた…


「そんな、不安な顔しなくても」


もしかして…新しい、好きな人が…


「ところでさ、英人と花火したんだって?あいつから聞いた」


「う、うん…」


松原君、森田君に言ったんだ。



「あいつ、花火の話してるとき、すごく楽しそうだったなぁ〜あんな楽しそうな顔、久しぶりに見たよ。最近いろいろあったらしいから」



「松原君…」


松原君が森田君に私のことを話してくれたことが嬉しかった。