朝から雨が降っていた…


放課後になっても雨は止まず…


「制服濡れちゃうなぁ…もう少し待ってようかな…」


私はくつばこの前に座ってそんなことを考えていた。


「何やってんだよ」


振り返らなくて誰だか分かった。私は振り返らずに、


「何よ。松原君…」


松原君は私の隣に座ってきた…


ドキドキ…する…


「なんで隣に来るのよ…」


緊張してきた…


「別に。なんでここにいるの?誰か待ってるのか?」


「止むのを待ってるの!制服濡れるの嫌だし…」


肩が…もう少しであたりそう!


「暇なやつだな…いつ止むかもわかんないのに…」


「まぁ…暇だけど…」


肩が…気になる…


「オレが話し相手になってやるよ」


「えっ!…うん」



私はまだ雨が止まないでほしいと願った。


「こうやって近くで話すの初めてだよな」


そうかな?そういえば学校で話したことないな…窓で話すぐらいか。


「だって…学校で話しかけないからさぁ〜」


「なんでオレが話しかけなくちゃいけないんだよ」


彼は笑いながら言った。


「こ…これからは話しかけて…ほしい…」


私はすごく小さい声で言ってみた。


「えっ?なんて?」


やっぱり聞こえてないよね…


ここで会話が途切れた…


またか…


「香澄!よかったいてくれて!傘かし…て…松原君!!」


振り返ると香奈がいた。


「香奈…どうして…」


気まずい…


「木村さん。傘ないの?」


「へっ?あ!…うんっ」


香奈は顔を赤くしながら答えた。


初めて二人が話しているの見た。



「一緒に帰る?オレ傘持ってるから」


えっ?松原君…何言ってるの?


「本当に?是非っ…」

香奈は満面の笑みをうかべて言った。


私はなんだか…辛かった。


「香澄!やった…」


香奈が小さい声で私に言った。


「よかったね…じゃあ…ね」


松原君が一瞬私を見た気がした。