ぜりー えっぐ ―スマイル リズム―

8月15日のお盆頃 町内で配られた風鈴が風になびかれ、そこらじゅうで涼しげな音を奏でていた。
しかし、その鈴とは、裏腹に古びた埃のかぶった茶箪笥に昔飾られた鈴が多く整列を成して並べられていた。

ゴー、ゴゴー、ゴゴゴー、茶箪笥が揺れる、物が倒れる。 ガラス物、瀬戸物類が当たったり、落ちたりして割れる。
パリーン、バリーン、バッシャン・・・!?
床に落ちて割・れる、散・ら・ば・る。

しかし、何物かの力が加わったのか!? 掛かったのか!?・・・・・・。
散らばった物が割れた高さに浮き上がっていくと消えては、移動、再生。 浮いて、消え、移動、再生というリズムで壊れたものがリサイクルされていった。

八つの鈴が一線に並んだ。
各々に個性を持ち、鈴にオリジナルのカラーが煙のようにまとわり、色付いていく。
目の前を畳まれた小さな小さな傘と見えないバトントワラーが通り過ぎて行った。

鈴が幼児のバレリーナみたいに慣れないみたいにゆらゆらと踊り出す。
八つでスカートとインナーバトンで『エーデルワイス』を奏でて生活用品を癒していく。
エーデルワ〜イス、エーデルワ〜イス、低い歌声!?らしかったが、聴こえやすい天使の美声に鳴り、みんなの心に響いていった。

綺麗な指先とステップの高いジャンプで両足が浮いて開いた。
"エーデルワイス"が消え、一瞬だけ"白鳥の湖"に変わる。
ピンライトが当たる、鈴が次から、次へとジャンブし、マンガを見ているみたいに動いた。

色が変わって行き、八匹が一匹の白鳥に成り、"白鳥の湖"を踊り始める。
着せ替え白鳥の湖を演じる。
声や動きが無い日常生活用品全品が心を打たれ、右へ→左へ←体を揺らされる。

楽しい時は、過ぎて思い出に変わって云った。
いつからか、フィナーレのジェンカが流れ出す。
テケッテ〜テ〜レ〜テレレレ〜レッレッレッ、レッツ、キス、頬寄せて、
みんなが前の相手の両肩に両手を置いていた。

右、左、前、後ろ、前、前、前、見覚えのリズム感でみんなが楽しんで踊っていった。
一人、また一人と画面から消えて行く。
もちろん、笑顔で手を振って。