おいしい紅茶を飲む前に

 たいてい中途半端でいい加減な記憶に、そこまで求めてはいけない。

これだけでも上出来なのだ。興味のない分野にしては、覚えていた方ではないか。

 無駄に思える努力はしない主義を思い出し、シェリルはふらふらしてきた目をまばたきをして落ち着かせると、改めて下を見た。


 リチャードとメアリーアンは、今では向かい合って話を続けていた。

内容的には深刻なのだが、とても囚われの身とは思えない、どこかお気楽な調子がある。


「君について聞いていた話を、僕は甘くみていた。君と踊るにはこういう覚悟か必要だったんだな。次からは忘れずに銃を持参するとしよう」

「誰からどんなお話をお聞きなのか想像はつくけど。ジェラルドからの情報だとしたら、差し引いて考えなきゃならないってこともご存知よね」