おいしい紅茶を飲む前に

「偶然だって、私もわかってる。ごめんなさい、リチャード」

「いいえ」


 先程のクリストファーたちの言葉を思い出した。そう、言葉だ。

王子と言葉を交わせない人達が、いったい彼に何を要求できると言うのだろう。

と言う事は、王子の国とは関係のない話だということにならないか?


 あら。
誰でも良かったのかもしれない。この国が真剣に対処しようと思うくらいの人間であれば、誰でも。


 シェリルはふと、王子の名前を思い出していないことに気付いた。

……イリセツポット……なんとかセフウィン……。
古いその国の言葉で、『光を携える者』みたいな意味を持っていた、というところまでは確かなのだ。

がしかし。