おいしい紅茶を飲む前に

「どうして、こんなことになっちゃったのかしら」

「どうしてでしょうねぇ」

 投げやりに聞こえる相槌を打ち、怠慢そうに隣に座ったリチャードも、なにやらただ者ではない人間に見えた。
広間で気を揉んでいるあのふたりみたいに、少なくとも、あからさまに貴族ではない。

 夜会服姿は板についているが、どちらかというと実業家のタイプだった。若いけれど有能で、目端の利きそうな。

 ソファに並んで座ったふたりは、互いに正面を向いたまま会話らしきものを始めた。

話すこと自体は咎められはしないらしく、声も小さくはない。王子の横、そして扉の前の男達は、なんの反応も見せなかった。