結局、出かけたのは午後になってからだった。

 ロンドン観光案内の約束が果たされるまでに、二週間経過。

この街に出てきさえすれば、『お兄ちゃん』とべったりくっついていられると思っていたシェリルにとって、このフレディの忙しさは、桁がずれるほどの計算違いだったけれど、同時に彼が自分の居場所をしっかりと持っていたことを嬉しいと感じてもいたのだ。この都会で。


 本日の休暇もかなり無理して手に入れたものらしい。

せめて一日のスタートはゆっくりにしてあげましょう、と言うおばさまの言葉に素直に従って、彼が自然に目覚めるのを待った結果が、この昼下がりの散策なのである。