「……何かあった?」

少し屈んで
私に視線を合わせてくる。




どうしよう。


先生のこの格好、
フツーの生徒でも
まずいと思うよね?



絶対そーだよ……。




「せんせ、
あの……服……
ボタン……
ちゃんと、
閉めてください」


口に出すと
嫌でも目がいってしまう。


それでも必死で、
ボタンを止めるよう促す。



「ん、あぁ……。
ごめんねー。
おれ、今日さぁ、
年甲斐もなく
部活張りきりすぎて、
へとへとなんだ……。
お手洗いで
着替えたんだけど、
ネクタイは
職員室で締めるかぁ、
ってなって、
それで……」


「へとへと」
という言葉の通り、
どこかとろんとした目で
独り言のように話す先生。


ホント
お疲れ様なんだけど、
肝心のボタンを
いつまで経っても……。



「……やって?」

「え?」










「ボタン、やって?」