Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「マンドレイクにはね、それぞれの薬の威力増幅の効果があるの」

ユエの言葉に、そらはじっと耳を傾けた。

「もちろん、マンドレイクそのものを、ただ使っても効果はない」

そらは意味がよくわからず、首を傾げた。

「…人形を持つことができるようになったマンドレイクに、魔力を注がせるの。そうすれば、薬の威力を増幅できる」

「知らなかった…」

そらの言葉を聞いて、ユエはフンッと笑った。

「当たり前よ。そのせいで、私達マンドレイクは人形をとれなくなったんだもの」

「えっ…?」

「遠い昔、世界が滅ぶんじゃないかと言われるほどの、大きな戦争があった」

ユエの言葉に、そらはごくりと唾を飲み込んだ。

「マンドレイクだって、昔はほとんどが人型をとっていたの。その方が何かと便利だからね。でも、その戦争で、ある一人の男の人を封印するために、私達マンドレイクは魔力を搾り取られ、人型を取れる者がほとんどいなくなったのよ」

声が出なかった。なによりも、ユエの言葉の意味が、何を意味するのか、まさかと思うのだが、いろいろな部分が結びついていく。

「この学園にいるマンドレイクたちは、もともと、そのときの大戦で魔力を奪われたマンドレイクばかりなの」

「まさか…」

そらの言葉に、ユエは無言で頷いた。

「そのまさか、よ」

そらの言わんとしたことがユエにはわかったようで、それ以上は何も言わなかった。

「それにしても。あんた、何でこんな薬のターゲットにされてるのよ」

言われてそらは、首を傾げた。

「どういうこと?」

そらの言葉に、ユエは眉を顰めた。

「は?もしかして…この女が何をしようとしてたのか、わかってないの!?」

ユエの言葉に、そらはたじたじっとなりながらも頷いた。ユエは深いため息をひとつついた。