Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「ルン!」

ユエはそう叫ぶと、そらの掌に乗っていたマンドレイクを優しく抱き上げた。

「よかった!無事でよかった…」

ユエはルンをぎゅっと抱きしめていた。そらはその姿を見て、ホッと息を漏らした。

「な、なによ、たかだかそんなマンドレイクごときで」

喉をさすりながら、みやがキッとそらたちを睨み付けながら、吐き捨てるように言った。

「あんた…!」

ユエが言いかけたのを、そらが制止する。そらの顔が、笑っているにもかかわらず、いつもの雰囲気とは明らかに違っているのに気付き、ユエはそのまま黙って2人を見やった。

「マンドレイク、何に使おうとしてたの?」

低く、静かなその声に、思わずみやの体が硬直した。
そらは、何も言わないみやの方へ、1歩足を踏み出した。それに反応して、みやが1歩後ずさる。

「ねぇ、みやさん。どうするつもりだっの?別に責めてる訳じゃないんだから。理由、話してよ」

そらに言われて、思わずみやは口を開いた。

「温室にあるマンドレイクを使って、魔法薬を生成してほしいって頼まれたのよ」

次の瞬間、みやの顔が一気に青ざめる。

「なんの魔法薬を作ろうとしてたの?」

そらに聞かれて、みやは口を閉じた。なぜ喋ったのかわからないといった表情を浮かべている。

「…呪いの薬よ」

答えたのは、みやではなく、ユエだった。

「呪い?」

ユエの言葉に驚きを隠せないそら。みやの方を見ると、みやの顔はどんどんと血の気を失っていっていた。