「人なんてもううんざりなのよ」
憎しみに満ちた目。一体、ここで何があったというんだろうか。
「ユエ、何があったの?」
おそるおそるそらが聞く。すこしの間、その場に沈黙が流れた。そらの額から、つうっと汗が流れ落ちる。と、鋭い眼差しを、みやに向けたまま、ユエが口を開いた。
「こいつは、せっかく力が戻ってきた仲間達を拐っていったのよ」
ちらりと小さな少女の方を見る。小さな体が、ブルブル震えていたのがわかった。
「なんのために拐ってったかと思えば…ほんと、ヘドが出るようなことに使おうとするし」
忌々しそうにみやを見るユエ。みやは苦しそうにもがいていた。
「ユエ…」
そらには何も言えなかった。ユエの気持ちも痛いほどよくわかる。大切な仲間を、いきなり連れていかれれば、私だって冷静ではいられないだろう。
「お願い、ユエ。みやさんを離して」
それでも、殺されかけている相手が、自分を嫌っているみやだとしても。このまま放っておくわけにはいかない。
思い切って、ユエを止めようと声をかけたが、ユエは冷ややかな目でそらを見つめた。
「なに。結局あんたも人ってことね」
吐き捨てるようにユエが言った。そらの心が、少しだけちくりと痛んだ。
そらは机の上にいたマンドレイクをそっと抱き上げた。最初、触れたときに、マンドレイクはびくっと体を震わせたが、そらが優しく足枷をつけられている部分を撫でてやると、マンドレイクは少し首を傾げながら、恐る恐る、そらの手にそっと、自分の手を重ねてきた。
(この足枷…どうやったらはずしてあげられるの?)
シークに問いかけるが、シークは何も答えなかったが、気がつくと、マンドレイクの足枷が消えていた。
「あ…」
小さなマンドレイクは驚いたような表情を浮かべる。そして、次の瞬間、目にうっすらと涙をためながら、そらにぺこぺこと頭を下げていた。
「良かった…」
ホッと息をつくそら。そらはくるりとユエの方に向き直り、小さなマンドレイクを差し出した。
「足枷は取れたよ。ほら、この子も無事だよ」
ユエから出ていた糸がシュルッと消えていった。みやは床に落とされ、ゴホゴホと咳き込んでいた。
憎しみに満ちた目。一体、ここで何があったというんだろうか。
「ユエ、何があったの?」
おそるおそるそらが聞く。すこしの間、その場に沈黙が流れた。そらの額から、つうっと汗が流れ落ちる。と、鋭い眼差しを、みやに向けたまま、ユエが口を開いた。
「こいつは、せっかく力が戻ってきた仲間達を拐っていったのよ」
ちらりと小さな少女の方を見る。小さな体が、ブルブル震えていたのがわかった。
「なんのために拐ってったかと思えば…ほんと、ヘドが出るようなことに使おうとするし」
忌々しそうにみやを見るユエ。みやは苦しそうにもがいていた。
「ユエ…」
そらには何も言えなかった。ユエの気持ちも痛いほどよくわかる。大切な仲間を、いきなり連れていかれれば、私だって冷静ではいられないだろう。
「お願い、ユエ。みやさんを離して」
それでも、殺されかけている相手が、自分を嫌っているみやだとしても。このまま放っておくわけにはいかない。
思い切って、ユエを止めようと声をかけたが、ユエは冷ややかな目でそらを見つめた。
「なに。結局あんたも人ってことね」
吐き捨てるようにユエが言った。そらの心が、少しだけちくりと痛んだ。
そらは机の上にいたマンドレイクをそっと抱き上げた。最初、触れたときに、マンドレイクはびくっと体を震わせたが、そらが優しく足枷をつけられている部分を撫でてやると、マンドレイクは少し首を傾げながら、恐る恐る、そらの手にそっと、自分の手を重ねてきた。
(この足枷…どうやったらはずしてあげられるの?)
シークに問いかけるが、シークは何も答えなかったが、気がつくと、マンドレイクの足枷が消えていた。
「あ…」
小さなマンドレイクは驚いたような表情を浮かべる。そして、次の瞬間、目にうっすらと涙をためながら、そらにぺこぺこと頭を下げていた。
「良かった…」
ホッと息をつくそら。そらはくるりとユエの方に向き直り、小さなマンドレイクを差し出した。
「足枷は取れたよ。ほら、この子も無事だよ」
ユエから出ていた糸がシュルッと消えていった。みやは床に落とされ、ゴホゴホと咳き込んでいた。


