Magic Academy ～禁書に愛された少女～

「うわああぁぁ！」

ひゅっと体が落下する。どさっと大きな音とともに、そらはしりもちをついた。

「いったぁ…」

びりびりと電気が走ったようにしびれている腰の辺りをさすりながら、少しなみだ目になる。はぁ、と息をつきながら、そっと目を開けた瞬間、そらの顔から血の気が引いていった。

「だ、だめ！」

慌ててユエを制止した。
目の前には人型になっているユエと、苦しそうな表情を浮かべたみやのすがたがあった。


状況はまったく理解できないけど、これだけはわかる。
チョーヤバイ。
ユエから殺気がびしびし伝わってきてるもん！


一気に背中に汗が噴きだした。ごくりと唾を飲み込むと、ゆっくりとそらはユエの側へと近寄っていった。

「どいつもこいつも…なんで人間はいつの時代も、こうも下等な生き物なの!」

怒りをあらわにした表情のユエ。両手からは細い糸のようなものが見えていた。

「ユエ、落ち着いて…」

「うるさい！」

恐る恐るユエに声をかけてみたが、ギロリと睨みつけられ、一喝されてしまい、そらはそのまま言葉を飲み込んだ。

「よくも私の仲間をこんな姿に変えてくれたわね…」

ぎりっと歯をくいしばるユエ。そらは、2人のそばにある机の上にいる、一人の小さな少女の存在に気づいた。

「あれは…」

『マンドレイクだな』

シークの声が響いてきた。「マンドレイク」と、そらは呟いた後、あることに気づいた。

「…足枷？」

そらは思わず眉を顰めた。