Magic Academy ~禁書に愛された少女~

そもそも、学園で育てられているマンドレイクだ。いつかは授業で使われるかもしれない。だが、まだ成長途中の段階で、無駄にその命を絶つようなことをしてはいけない気がして、そらはバッと温室を飛び出した。

「どうするつもりなんだ?」

シークに聞かれて、そらはもちろん、と答える。

「みやさんを止めて、マンドレイクを助ける」

そらはまっすぐに学校内にある調合室へと向かった。

「寮の可能性はないのか?」

シークに聞かれて、そらは少しだけ唸った。

「うーん…五分ってとこなのよね、実は」

調合室に行けば、ありとあらゆる器具がそろっている。魔法薬を作るには最適の環境が整っているのだ。なので、魔法薬を作るとすれば、調合室がうってつけ、ということになるのだが、相手はあのみやだ。もしかすれば、寮の自室で調合していることだって十分にありうる。

「こんなとき、使い魔がいてくれて、ちょちょいっと見に行ってきてくれると助かるんだけどなぁ…」

笑いながら、そう呟くと、シークも笑って言った。

「だとよ。出番じゃねーか」

「なんの?」

不思議そうにそらが言うと、どこからともなく、バサバサっと1羽の白いカラスが現れて飛んでいった。

「珍しいね、白いカラスなんて」

驚いたようにそらが呟くと、シークはそうだな、と短く答えた。

「ほら、急げよ?マンドレイクが使われた後じゃ遅いんだ」

シークに言われて、そらはうん、と頷き、走る速度を速めた。