「そろそろ30分かな」

そう呟くと、そらは温室へと向かった。正直、みやに会った後、もしかしたらシークを見られたかもしれないと思い、温室に戻ろうかとも思ったのだが、よく考えてみれば、シーク自身、魔法がつかえるのだから大丈夫か、と思い直し、約束の時間がくるまで、ボーっと月光浴をしていたのだった。

ぽてぽてとまた、温室へ戻る。
すると、温室が淡い緑色の光りを放っていた。


…わたし、ここに入ってもいいのかな?


おずおずと、温室のドアに手をかけ、中に入った。
目の前に、みやの言っていた男の子が立っていた。

「え?」

次の瞬間、淡い光りは激しく光る。そらは思わず目をつむった。
しばらくして、そっと目を開けてみる。すると、緑色の光りは、細かい雪のように室内にふっていた。

そしてそこには、男の子の姿は無かった。

「そら、早かったな」

棚の上から、シークの声がした。見ると、ネックレスになったシークがいた。

「ごめんね、シーク。ちょっと早かったかな」

そう言って、シークを手に取る。

「それよりどうだった?久しぶりの再会ってやつは」

そらがにっこり笑って聞くと、シークは笑いながら答えた。

「悪くはない再会だったぜ」

ユエがシークに抱きついてきた。

「シーク様!もう行っちゃうんですか?」

ぎゅっと抱きつきながら、キッとそらを睨んできた。

「…シーク様を他の奴に渡したりなんかしたら許さないんだから!」

そう言うと、ぺちっと頬を叩いてきた。そらは苦笑いを浮かべながらも、はい、とユエに答えた。