Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「離せ!人間!」

言われてそらはぱっと手を離した。ユエが地面に落ちそうになる。

「きゃっ!」

落ちる直前で、そらがキャッチした。

「そら?何してるの?」

後ろからアッシュが声をかけてきた。振り向くと、驚いたような表情をしている。

「ちょっとそら!勝手にマンドレイク引っこ抜いちゃだめじゃん!てか、いつの間に引っこ抜いたのよ?叫び声なんて全然聞こえなかった…」

不思議そうに眺めてくるアッシュに、そら首を傾げた。

「へ?マンドレイク?」

聞き返すと、アッシュはそれ、と、そらの手を指差した。


ま、まさか、この子マンドレイクなの!?


驚くそら。と、怪訝そうな表情をしているアッシュにそらは慌てて否定した。

「違う違う!このマンドレイクは、最初っから抜けてたの!」

そらの言葉に、アッシュは首を傾けた。

「最初から抜けてたって…じゃ、誰かが抜いてたってこと?」

確かに、と、そらも首を傾げた。

「誰が抜いたんだろ」

言った瞬間、後ろから声がした。

「あら、誰かと思ったら。落ちこぼれのそらじゃない」

聞き覚えのある、嫌な声。振り返ると、案の定だった。

「…みやさん…」

クラスメイトのみや。父親は超のつくエリート魔法使いで、この国の中枢機関で働いている。母親も、かなりの魔法の使い手だが、とても優しい人で、ボランティア医療団体に従事している。そんな2人の間にできた子供。2人とも、とてもできた性格の人なのだが…

「こんなところに、あんたなんかが何の用?」

特別寮に入るのがそらだと決まり、さらに、実技が壊滅的に苦手だということがわかってからというもの、みやから嫌味を言われることが絶えなかった。