Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「今、シーク様の声がしたわ」


…様?今、シークに様ってつけて、誰か何か言った?


そらは、幻聴が聞こえたのかと、自分の耳を疑った。あたりを見回してみても、声の主と思しき人物はどこにもいない。

「気のせいかな」

そう言ってフッと足元を見ると、小さな人の形をした女の子の姿があった。

「なにこれ、ちっちゃ!」

座り込んで見てみると、女の子は慌てふためいていた。

「やだ、なんで人間ごときに姿が見えちゃってるのよ!」


…ごときってなによ、ごときって。


にっこり笑って、そらはその女の子の頭に生えている、草の部分をぐいっと引っ張った。

「きゃぁ!なにすんのよ、離せ!この巨人!」

言われてますます草を握る手に力がこもった。

「その辺にしておけ、ユエ」

シークの声に、ユエの表情が一気に明るくなった。

「やっぱり、その声はシーク様!どこにいらっしゃるんですか!?」

その問いかけに、シークはゆらゆらと、軽く揺れた。ユエは絶句する。

「な、何でこんな人間なんかに!」

シークはユエの問いかけに何も答えなかった。

「くっそぉー!人間め、シーク様をどうするつもりだ!」

ユエがじたばたと暴れる。が、圧倒的な大きさの違いで、そらはほほえましくユエを見つめていた。