Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「そら、起きなさいよ!」

「う…ん……?」

寝ぼけ眼をこすりながら起き上がると、そこにはアッシュの姿があった。

「アッシュ?」

「そらが帰ってこないって、うみが探してたよ?」

笑いながら手を差し伸べてきた。そらはその手をとり、立ち上がる。

「もう、授業全部終わっちゃったし、寮に戻ろう?」

アッシュがフッと息を吹くと、青と緑の光りが寮の方へ向かって飛んでいった。
やっちゃった!という表情を浮かべると、そらは慌てて、アッシュと一緒に寮へと戻った。


寮に戻ると、入り口のあたりでざわざわと2・3年生がたむろしている姿が見えた。何をしているのかと、アッシュとそらは顔をみあわせてその人垣に近づいた。

「え、学長!?」

アッシュの声に、ちらっと隙間から顔が見えた。

「あぁ!」

「え?どうかしたの?」

アッシュに聞かれて、いや、と首をふった。


さっきの人じゃん!ってか、学長!?
見たことあるはずだよ…
それより、なんでこんなとこにいんのよ…


そろっと学長に見つからないように、部屋に戻ろうとすると、いきなり声をかけてこられた。

「あら、そら。戻ってきたのね?」

にっこりと微笑まれ、背中に嫌な汗をかきながらも、笑顔で対応した。

「えぇ、まぁ…」

「え、そら、アンリ学長と知り合いなの?」

アッシュに驚きのまなざしを向けられて、そらは顔が引きつる。

「ううん、違うよ。…ね、アッシュ、早く部屋に戻ろう」

そう言って、そらはアッシュの手を引っ張り、エレベーターに乗り込んだ。