Magic Academy ~禁書に愛された少女~

女性の表情は変わらない。先生たちも変わらず、女性の後ろでひそひそと話をしている。

「そう、入っていないの?」

「ですから、何のことかわかりません」

にっこりと笑って答える。掌にはびっくりするくらい、汗が吹き出ていた。

「禁書」

「は?」

女性の言葉に、そらは首をかしげた。

「魔法書」

「え?」

女性の言葉に思わず眉をひそめる。

「ふふ、いいわ。もう、下がって結構です」

女性にそういわれて、そらは、では、と短く答えて頭を下げると、そのまま部屋を出て行った。

「オリゼ先生」

パタン、と扉が閉じられるのを確認して、女性がオリゼに声をかけた。

「はい、学長」

軽く頭を下げる。

「あの子は、先生のクラスの生徒でしたね」

聞かれて、オリゼは短く、はい、と答えた。

「あの少女は禁書について、何か知っているはずです。目を離さないよう、しっかりと監視をお願いします」

そう言うと、女性はじっと、扉の方を見つめていた。