Magic Academy ~禁書に愛された少女~

「開け!」

シークのかけ声と共に、体育館中の扉や窓が開いた。そして、その中のひとつから、スレイプニルはスイッと外へと出ていった。

外は僅かな星と月の光だけがさしていていつもより若干暗い感じがした。

「そっか…新月まで、あと少しなんだ」

そらが呟く。
と、スレイプニルは高く高く飛び上がり、校庭へと向かった。

「何にもないや」

残る不思議は校庭のマジックサークルと、世界樹の扉。

「マジックサークルは時間が決まってるんだっけ」

そらが言うと、シークがチャリンと音をならして揺れた。

「そうだな。明日辺りにくるのがちょうどかもな」

シークの言葉に、そらは少し首をかしげた。

「…シークはなんでそんなに七不思議に詳しいの?」

素朴な疑問を口にする。

「それは…」

シークが言いかけた時だった。

「こらっ!誰だ、こんな時間に抜け出しているのは!」

「やっば!」

校舎の方から、先生らしき人影が走ってくるのが見えた。

「今日はもう帰ろう!スレイプニル!」

そらのかけ声と共にスレイプニルは猛スピードでその場を離れていった。