元々子供が出来ずらい体質だったらしい祐子は、いつも頭を抱えていた。
二人とも、子供が欲しいと思っていた。
知良はそこまで悩まなくても良いと言っていたが、裕子は納得行かないのか、いつも悩んでいた。
しかしそんな二人にも、結婚三年目にして、ようやく光が見え始めた。
なんと、裕子は妊娠していたのだ。
二人は飛び上がって喜んだ。
願っていた、心の底から欲しかった、自分達の新しい家族。
妊娠が発覚したその日、二人は夜にご馳走を食べた。
「楽しみね、あなた」
出産はもうすぐそこに迫っていた。
あと一週間もすれば病院に入り、出産の準備をするようになるだろう。
知良も、出産には立ち合うつもりだった。
「あ、また」
裕子の中の小さな命は、いつも元気に躍動を繰り返していた。