湿った重い空気が辺りを包む。
しとしとと降り注ぐ雨が、学校生活の疲れを助長した。
「……あ"ー」
そんな怠さMAXの状況で、部室のソファーに寝そべっていた明衣は、ゴロンと寝返りを打ちながら呻く。
湿気で丸まった毛先が、革製のソファーにパサリと散らばった。
「なんか雨の日ってテンション下がるよねー…」
本郷もめずらしく、デスクでダラリと突っ伏していた。
二人の溜息が図らずも重なり、更に空気は重くなる。
「大体依頼も依頼よね。赤坂姉妹事件から今までの依頼といえば、校庭の草毟りじゃない。
一日中こき使っといて、一人頭三千円って何つー神経してんのよ……」
「仕方無いのよ……一応学校の部活ってことになってるから、部費程度の報酬しか入らないの」
「労働基本法に背いてるよ」
「…明衣ちゃんから法律の名前が出るなんてびっくり…」
「さらっと毒吐きましたねー先輩……」
殆ど呻き声に近い声で会話する二人。
五月女はパソコンと睨めっこをしていた。