楡の授業は何時もこうだ。
たまに気が向いて真面目に授業をやりだしたと思ったのも束の間、「飽きた」の一言で『世界史マニアッククイズ』をやり始めたり、とにかく、50分まともに授業をしたことが無い。
彼曰く、「楽しく覚えられて良い」だそうだが、明衣にしてみればただサボりたいだけで、これは言い訳にしか過ぎない。
「今まで習った範囲のヤツだから。一位になったからって、景品とか別に何も用意してないけど」
机を教室の後ろに下げ、広くなった教室の床に歌留多の絵札を放り投げる。
座学よりはずっとマシだという事で、クラスも何となくやる気になる。
結局、白熱しすぎてチャイムが鳴ったことにも気付かずに、全員教室の真ん中で団子のように固まり、抑揚の無い声で読み上げられる世界の出来事に耳を傾けていた。



