ボートはそれぞれ二人ずつ乗ることになった。
狭いアヒルさんボートに六人全員が乗るのは辛く、三人だと漕ぐには少し狭いため、こうする事になったのだ。
──う……うわぁ緊張する〜…
五月女は本郷と乗ることに成ったので、かなり緊張していた。
ドキドキと高鳴る胸を落ち着かせ、自然な足取りでボートに乗り込む。
「せ、先輩!行きましょうか!」
「そうね」
上ずった声で言えば、笑顔で返ってくる返事。
五月女が、あの笑顔の為に頑張りたいと思い始めたのはいつだったのだろうか。
気が付けば彼女の笑顔から目が離せなくて、そして、その笑顔を守りたいとさえ思うようになっていた。
だから、本当はバスケ部に入る予定だったのだが、aucに入部した。
彼女の笑顔が近くで見たくて。
彼女の笑顔を守りたくて。
当の彼女は、五月女のことなど歯牙にも掛けていないだろうが、五月女は本気だった。
ただ、普段の気楽な一面と相まって、実は内気な一面のある彼は、いつも一歩が踏み出せずに居た。
「行っきまーす☆」
密着する体越しに、このドキドキが伝わるのが恥ずかしくて、五月女はわざとデカイ声で言った。



