一通り動物を見て回り、歩き通しだったので一休みを兼ねて昼食を摂ることにした。
楡お手製の弁当が、手提げから取り出される。
「…皆何好きか判んなかったから、無難におにぎりにしたんだけど」
無表情のまま、楡はちらっと華と麗を見た。
「……庶民の味だから……口に合うかどうか…」
「いえ、全然!わざわざ先生が作ってくれたんですか?」
華は心配そうな楡を余所に、嬉しそうに微笑む。
麗も意外そうに楡が作った弁当を凝視した。
大きめの弁当箱には所狭しとおにぎりが並び、更にもう一つの弁当箱には生姜焼きや卵焼き、ポテトサラダ、ナポリタンなど、驚くほど品揃えの良いおかずが入っており、細かく詰められたそれに皆目を輝かせる。
「美味しそう!先生、食べていいですか!?」
「……どうぞ。荷物減らしたいし」
質問しながらもちゃっかりとおにぎりに手を伸ばしていた五月女に、楡はいつもの無表情で答える。
明衣はこんな男に料理が出来るのか、と割と失礼なことを考えながら、おにぎりに手をのばした。



