チャイムの音が鈍く鳴り渡り、一時間目の授業の開始を告げた。
チャイムに感情があるなどと馬鹿げた事を言うつもりは無いが、この学校のチャイムは何処か機嫌を損ねたような、そんな音を出している。
「はぁ、めんどくさー……」
「だよねー……」
明衣の溜息に、美帆子もつられて小さく息を吐いた。
一時間目は世界史で、明衣はサボりすぎた挙げ句単位が足りなくなり、これ以上休めば単位を落としてしまうことになった、最悪の教科だった。
最悪なのは、それだけではない。
ガラガラ
教室のドアが開き、お世辞にも良いとは言えない姿勢で、けだるそうな教師が入ってくる。
面倒臭そうに教壇に立つと、無表情で教室を見回し、一言。
「面倒だし……号令良いや…」



