最近赤ちゃんが生まれてテレビでも話題になっていただけは有って、山奥の動物園であるにも関わらず、凄い人だった。
カップルや家族連れ、友達同士で来た者など、それらは様様だ。
「凄い人ねぇ…取り敢えず順番に見て回りましょ?」
本郷が受け付けでパンフレットを貰い、それを眺めながら言った。
マップによると、正面入り口から入ったため、白くまから見るのが近い。
麗の目当てのゴリラはまだ先のようだ。
「凄い、白くまをガラス越しに見れるんだってさ!」
五月女は『しろくまランド』と書かれた小屋を指差して、まるで小さな子供のようにはしゃぐ。
ガキかよ、と呟きながらも、明衣は五月女に続いて中に入っていく。
ブルーのライトが室内を照らしていて、ひんやりとした空気はまるで水族館のようだった。
「うわぁ!でかい!近い!」
ガラス越しに見える白くまに、五月女は大興奮。
水槽にぴったりと張りつき、遠足に来た幼稚園児のように騒ぎ立てる。
流石に華も麗も他人の振りをして、少しだけ彼から離れた。



