「あの、そこの金髪の人は…」
麗が不思議そうに楡を見上げた。
楡は首を傾げながら自分を指差す。
麗は何か珍しいものを見るような目付きで、楡を見つめながら尋ねた。
「日本人……?」
楡は特に表情は変えなかったが、何処か困ったように項の辺りを掻いた。
そして、言葉を選ぶようにゆっくりと答えた。
「……まぁ……な。純粋な日本人だ」
「その色は…アルビノ?」
「……へぇ。物知りだな」
麗の問いに少し驚いたように目をぱちくりしてから、楡は頷いた。
華とは三歳離れていると言って居たから、中学二年生の麗が、その言葉を知っていることに感心したらしい。
「アルビノって?」
本郷が不思議そうに尋ねると、麗が答えた。
「先天性色素欠乏症、白子とも呼ばれたりするんだけど…生まれ付きの遺伝子疾患で、メラニンが不足して、色素が薄くなるの。
……今迄色々苦労したでしょ?きっと……。あたし、自分が特別な存在って言われるようになってから、色々考えてて……こうやって苦労してるのは、あたしだけじゃないんだって、思ったの」
「………」
麗の言葉に、皆口をつぐんだ。



