ドアから顔を覗かせた麗は、何か怪訝そうな表情でaucメンバーを見つめた後、「取り敢えず入って」と促した。
五月女は女の子の部屋に入るのは……とか言いながら、どことなく戸惑っている様子だったが、結局嬉しそうに入っていった。
「ゴリラが生まれたって本当なの?」
麗は、全員を部屋に案内するなりそう言った。
「マジでゴリラ好きなの!?」
明衣のツッコミをスルーし、麗は真剣な表情でaucメンバーを見ている。
五月女が頷いた。
「そうだよ!名前は募集中なんだって」
それを聞いた麗は、少しだけ嬉しそうに微笑んだ。
口元に小さく笑窪が出来、可愛らしさを助長している。
姉の華は長い黒髪を緩く巻いた、どちらかといえば大人っぽく落ち着いたイメージがあるが、妹の麗は一点の曇りもない黒髪を肩の上の方で短く切り揃え、ボーイッシュなイメージがある。
くりくりと大きな二重目蓋に、マスカラ要らずの睫毛が生えていた。
「行きたい。動物園」
「ホント!?良かった!」
麗の言葉に、いつ仲良くなったのか、五月女が華とハイタッチ。
本郷がそっと明衣に話し掛けた。
「ゴリラよりパンダの方が可愛いわよね?」
「もう……どっちでも良い……」
明衣は疲れ切ったように肩を落とした。



