小さなパーティーは盛大に盛り上がっていた。

auc誕生秘話や、始まったばかりの部活の話を聞いて、明衣や五月女も「何それ!」「聞いてないっす!」等と思い思いのリアクションをとる。

本郷は至ってマイペースに、「だって話してないもの」と笑うのだった。


「そうだ、麗ちゃんは今年高校生だよね?どこの高校行くの?」


本郷が尋ねると、麗は何処か照れるような表情を見せ、楡をチラッと一瞥した。


「頼高に入るって決めてる。でも…部活はテニス部やりたい」

「ここじゃねーのかよ!」


麗の言葉に少しだけ期待してしまった明衣は、力一杯叫んでしまう。

「でもたまに協力しに来たりするのは良いでしょ〜?」等と言いながら笑う麗。明衣は「ちぇ〜」とつまらなそうにコーラを飲んでいる。

そこで、本郷が「基くんは?」と話を振る。


「俺はあと1年あるんで…まぁ受験生ですけど」

「そっか。基はまだ中2か」


五月女がポッキーを摘みながら目を丸くする。どうやら今気が付いたようだ。


「良祐や明衣ちゃんだって同じじゃない。今年から受験生でしょ?」

「うわぁぁそうだぁぁ!!」


本郷に指摘され、先輩風を吹かせて調子に乗っていた五月女はうなだれる。

部室にはしばらく笑い声が響いていた。