「此処が、麗の部屋。今もきっと閉じこもってるわ」
困ったように言う華は、ドアを溜息混じりに見ていた。
「任せてくださーい!俺達に掛かれば、余裕っすから!」
「ちょっと何いきなり調子こいてんのよ!」
元気に手を振りながら言う五月女に、明衣は本日何度目か既に判らないツッコミを入れた。
この部活のメンバーは一体、明衣が居なかった頃はどうなって居たのだろうか?
恐らくこの様子だと、ストッパーが居ないため、暴走していただろうなと思うと、明衣は心なしか、頭痛がしたような気がした。
「麗、私の友達が来てくれてね。今度の土曜日、息抜きで動物園に連れて行ってくれるみたいなの。動物、好きでしょ?」
華がドアに呼び掛ける。
すると、本郷も華に習ってか、ドアに向かって声を掛けていた。
「最近双子のパンダが生まれたそうよ。可愛いと思うなぁ、是非一緒に行きましょう?」
返事は無い。
何と無く空気が白ける。
その時、空気の読めない五月女が口を開いた。
「一週間前、ゴリラの赤ちゃんが生まれたんだってさ!」
「バカじゃねーのお前!!ゴリラの赤ちゃんなんかで動くわけ……」
明衣がツッコミを入れたその時。
ドアがうっすらと開いた。
「………あんのかよ!!!!」
明衣は眼球が飛び出ていた。



