続いて、吹奏楽との合同練習。

aucメンバーも、前回の練習で指摘されたことを改善し、臨んだ。

「サックス、ペット、出すぎてるね。ちょっと抑えようか」

吹奏楽部顧問が指揮棒を軽く振りながら、指示を出す。部員たちは歯切れの良い返事をして、楽譜に何かを書き込んだ。

「どう?桃子さん、歌いやすい?」

顧問の質問に、桃子は頷く。

「じゃあこの強弱で行こう。もう一回ここから通して、最後に頭から下さい」

時折五月女や楡が間違えて、吹奏楽部員の笑いを誘った。

「もう俺年だから…」

そのたびに楡はそう言い訳した。

しかし、普段の無気力な雰囲気とのギャップが女子の部員の人気を集め、休憩時間に取り囲まれていた。

その様子を面白くなさそうに見つめる明衣の姿を見て、本郷と桃子が顔を見合わせて笑った。

「ほんと、素直じゃないよね」

「そうね」

ただ一人、五月女は不思議そうに首を傾げるだけだった。