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学校帰りのある日。
華に連れられて、aucのメンバーは赤坂宅へとやってきていた。
麗の好きな動物園の無料招待券が手に入ったので(何処で手に入れたのか楡が無表情で明衣に差し出した)、それを餌に麗を連れ出そうと考えたのだ。
「要は赤坂さんの妹さんを引き摺り出せば良いんだろ?」
「…いや、なんか物騒な言い方になってるし。連れ出す、ね」
一応部活動という名目で行動しているため、楡も一緒に来ていたのだが、早速明衣に突っ込まれていた。
立派な高級車に乗せられ、走ること数十分、目の前にはドラマやアニメでしか見たことの無いような豪邸が建っていた。
「……絵に描いたような金持ちなんだね!羨ましいなぁ〜…」
目をキラキラと輝かせながら、窓からその豪邸を見つめる五月女。
華は微笑ましそうにそんな五月女を見てから、控えめに笑う。
「そんなに凄いものでもないのよ」
「……あたしの家の十倍はあるけど」
明衣は切なそうに突っ込んだ。



