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本番を1週間後に控えたある日、美帆子は楡を除いたaucメンバーを連れて病院の前に来ていた。
楡は打ち合せがあるそうなので、とのことだった。
「一度、会ったほうが良いかなって思って」
そう言って案内された病室には、窓から差す太陽の光を浴びて、どこか儚い雰囲気を纏った一人の少女がベッドに腰掛けていた。
「なる、来たよ」
美帆子がそう声をかけると、少女は弾かれたように振り向く。
「美帆子!…と、後ろにいるのは友達?」
あまり焦点の定まらない瞳が、ゆるりとこちらに向けられる。明衣は少し戸惑いがちに、少女の顔を見た。
「うん。なるの手術費を集めるの手伝ってくれてるの。みんないい人なんだよ」
美帆子が3人を紹介すると、少女は微笑む。
「私、磯辺愛海(いそべ なるみ)。美帆子とは、中学からの付き合いだよ」
「よろしくね、愛海ちゃん」
本郷が愛海の手を取ると、彼女も嬉しそうに首を縦に振った。
愛海は完全に見えないわけではないのか、3人の方にきちっと顔を向けている。
(…早く……治してあげないと…)
明衣はそんな愛海を見て、決意を新たにしたのだった。