「……どうぞ」
「ありがとう」
ソファーに腰掛けた依頼人に、本郷がお茶を差し出す。
依頼人は湯気を上らせるお茶を一口飲み込むと、何か怪しいものを見るような顔で尋ねた。
「此処が、何でも請け負ってくれるauc……?」
「はい!どんな事でもお受けします!」
その問いに笑顔で答える本郷。
五月女と明衣は、
「ほら、aucは宣伝なんて姑息な手を使わなくても、こうして依頼が来るんだ」
「はぁ?別にそこまで知名度高くないじゃん。あたしも知らなかったし。それに宣伝は姑息な手じゃないし」
「明衣ちゃんは単に無知なだけだよ」
「何げに失礼だなコラァア!」
……見たいな感じで、納まることを知らない口論を繰り広げていた。
依頼人は明らかに困ったような表情だし、本郷も表面は笑っているが、その顔は引きつっている。
五月女が何か言い掛けた瞬間、楡がふと口を開いた。
「……お前等、二人で何言ってんの?」
無表情で、しかもまったく抑揚の無い感情の籠もらない声でそう言われ、二人は思わず固まってしまった。
「…あはは、続き、どうぞ…」
本郷は依頼人に話を促した。



