「いってらっさぁぁい」 「いってらっしゃい、な。まぁその舌足らずなとこが可愛いんだけどさ」 「親馬鹿は良いから早く行けよ」 笑顔で手を振る明衣、そんな彼女にニヤついた表情を向ける父・翔太、そんな父に呆れ顔を返す明衣の姉・麻衣。 卯月家の朝は、いつもここから始まる。 「明衣も早く支度しなさいね。学校遅れちゃうわよ」 「はーい」 台所から母・こよりが呼び掛ける。 学校にも慣れ始め、温かい家族に恵まれて、明衣はすくすくと育っていた。 そんなある、雨の日のことだった。