基を送り届けてから、aucのメンバーは学校まで歩いていた。
雨で濡れネズミ状態だった体も、今では柔らかな日差しと風で乾いてしまっている。
「それにしても珍しいですね〜」
「何が?」
本郷が口を開くと、明衣が首を傾げる。
「先生があんなに誰かの為に一生懸命になるなんて。ご丁寧に私たちにも内緒にして」
「…………」
嫌味っぽい言い方に、楡はバツ悪そうにそっぽを向いた。
明衣はフンと鼻を鳴らすと、楡腕を掴んだ。
驚いて振り向いた彼に、明衣は視線を逸らさずに言った。
「重ねてたんでしょ、昔の自分と、基くんを」
楡の目が泳いだ。
明衣は確信する。
「あたし、思い出したの。曖昧だった小さいときの記憶──」
あたしとアンタは、
前にも会ってる。