いやいや、待て。
依頼が無いから遊ぶ?
明衣は目を点にして、暫く固まっていたが、我に返って口を開いた。
「今までそんな効率悪いことしてたの?この部室何げにパソコンもプリンタもあるし、ビラ作って宣伝するとか、他にもやることはいっぱいあると思うけど?」
「…………」
その言葉に、ポカンと口を開ける二人。
まるで初めて聞いた言葉のように、理解に苦しんでいるようだった。
「……もしかして……思いつかなかった………?」
「…………」
肯定という名の沈黙が流れる。
明衣は溜息を吐き出した。
「全く……この状態で依頼が来る方が奇跡だわ」
ガラリ
先程の五月女とは違い、至って静かに部室のドアが開かれた。
三人は思わず視線をそちらに向ける。
そこには楡が立っており、その後ろには一人の女子生徒が立っていた。
放心する三人に、楡は告げた。
「………依頼、連れてきた」



