「こんにちはー!……あ、明衣ちゃん!来てくれたんだね!」
滑りの良いドアを破壊する勢いで飛び込んできたのは、相変わらず髪を逆立てた五月女だった。
犬のような瞳が明衣を見て嬉しそうに輝く。
明衣はそんな彼の眼差しに突き刺されながら、なんとか挨拶を返す。
「まぁ一応昨日から部員って事になってるし」
「嬉しいなぁ。俺、本郷先輩が居なくなった後、一人で接客するのかと思うと寂しくて」
「だから頼りないって言われんのよ……」
苦笑しながら頭を掻いた五月女に、明衣は間髪入れずにツッコミを入れていた。
思えば、何時の間にか明衣はツッコミ係だ。
不本意な自分の立場に溜息を吐いたのも束の間、次の本郷の言葉に明衣は言葉を失った。
「よし、じゃあまだ依頼もないし、適当に遊びましょ」
「………はい?」



