井野坂は、ポツリポツリと口を開いた。
「俺は何もしてないのに…ただ、背が低いとか、運動が出来なかったくらいで…パシリにされたり、好き勝手された。無関係の隆まで巻き込んで…許せなかった。学校を卒業して、アイツが結婚したって聞いて…」
──どうにかして、あの時の苦しみを、味わわせてやりたい
「そう、思うようになったんだ…」
けれど、仕返しといっても何をすれば良いのかわからなかった。
散々苛めの対象にされていたし、街やその他あちこちで顔を合わせるたびに嫌味を言われていたから、憎しみは十年以上経った今も、消えるどころか募るばかりで、今にもおかしくなってしまいそうだった。
更に、自分がせっかく就いた仕事も、ストレスですっかり弱り、クビになってしまった。
本当に憎い、あんな男、この世から居なくなれば良い。
それでも、自分に何が出来るのか、わからずに居た。
そんなとき、鑑識の仕事に就いた隆から連絡が有ったのだ。
「アイツに、復讐してやらないか──…」
まるで、天の声のようだった。



