「───…ッはぁ…!!」
明衣はガバッと上体を起こし、辺りを見回した。
心臓の鼓動が頭に響いて、思わず額に手を当てる。
頭痛もまだ何となく続いている気がして、深く息を吐きながら再びベッドに上体を寝かせた。
──何なんだろう、今の夢……。ただの夢にしてはリアルだったし………。あたしの過去って感じだったけど、あんな記憶ないし…
目を閉じ、夢で見た風景を一つずつ思い出す。
最後に見た少年の、虚ろな瞳が頭に染み付いていた。
「何処かで見た気がする…あんな感じの…」
感情の一切を捨てたような、人形のように濁った瞳。
曇り空のような、瞳。
「何よもう、ムカムカする!!」
ドアに向かって枕を思い切り投げようとすると、そのドアから姉が顔を出した。
「やっと起きたの? ご飯だよ」
「…………」
まさに振りかぶろうとしていた妙な態勢のまま、明衣は頷いた。



