押し黙ってしまった楡を見て、芳三は困ったような笑い方をした。
楡は、誰かのそんな顔が嫌だった。
そして、誰かにそんな顔をさせている自分がもっと嫌だった。
「まぁ、誰にだって蒸し返されたくない過去は有るだろうからな。これ以上は聞かねェよ」
「……!」
穏やかな笑みでそう言った芳三は、まるで息子を見るかのような瞳で楡を見つめた。
楡はそんな視線が恥ずかしいのと、慣れないのとで何だか緊張してしまい、それを誤魔化そうとコーヒーを飲んだ。
「ちなみに、その吉成は事件当時の現場で実際に作業してる。聞き込みしても良いが…どうする?」
「いや…それは良い。…なんか大体見えてきた。それより、何から何まで悪いな」
楡が申し訳無さそうに言うと、芳三は白い歯を剥き出して笑った。
「何言ってんだよ。お前さんが居なかったら、俺は今此処に居ねェんだからよ」
「……そんな事……」
楡は更に気恥ずかしくて俯いた。
畜生、自分はこんなキャラではないはずだ。
楡は何処かで悔しがる。



